目に異常がないのに視力が悪い?「心因性視力障害」について解説
皆様、こんにちは!
人それぞれ様々なストレスがあると思います。ストレスって思った以上に体の不調につながることがあり、そういった経験をされた方も多いのではないのでしょうか。
そんな私も初めて眼科に進んだ頃、初日の日に一つ上の上司であった女医の方から、「今日の医局会は君は出なくていいから定時で上がって頂戴」と言われ、疑問を持ちつつも仕事を終えて帰ったら次の日にスタッフ全員からなぜいなかったんだと責め立てられ、その女医からもなぜ帰ったの!?と罵られたのですが、それもまたいい思い出?です。相当腹立ちましたし、多くの方はおかしいと思いながらも謝罪してなんとか許しをこう形を取るのではないかと思いますが、私はあえてそういったことをせず、自分なりのやり方でやり返したのですが、それはまた後日談で。
当時そういった嫌がらせをことあるごとにその女医の方から受けて変な蕁麻疹が出たりしたのですが、実はストレスなどが目にくることがあります。
という事で、今日は「心因性視力障害」についてお話をしていきます。
学校の視力検査で「視力が低下しています」と指摘され、眼科を受診したものの、目には特に異常が見つからない。あるいは、視力検査では0.1や0.2しか見えないのに、普段はテレビを見たり、本を読んだり、友達と遊んだりすることに困っていない。このような場合、「心因性視力障害(しんいんせいしりょくしょうがい)」という状態が隠れていることがあります。心因性視力障害は、特に小学生から中学生くらいのお子さんにみられることがありますが、大人にも起こり得ます。今回は、心因性視力障害とはどのような病気なのか、なぜ視力が低下するのか、どのような検査を行うのか、そして治療や予後について解説します。
心因性視力障害とは、目の構造や視神経などに、視力低下を十分に説明できる異常が見つからないにもかかわらず、視力が低下している状態です。最近では「機能性視力障害(Functional Visual Loss)」という呼び方も使われています。私たちが物を見るとき、目に入った光は網膜で電気信号に変換され、視神経を通って脳に伝わります。そして脳がその情報を処理することで、初めて「見える」と感じます。つまり、物を見るという働きは、目だけでなく脳も関係しているのです。心因性視力障害では、目から脳へ視覚情報を伝える仕組みが保たれていても、その情報を認識する過程がうまく働かず、見えにくさを感じることがあると考えられています。
大事なこととして、お子さんが嘘をついているわけでも、わざと見えないふりをしているわけでもないということです。本人は本当に「見えにくい」と感じている場合があります。また、「心因性」という名前から、必ず精神的ストレスや家庭環境に問題があると思われがちですが、そうとは限りません。明らかなストレスの原因が見つからない場合もあります。
心因性視力障害は、特に学童期から思春期にかけてみられます。学校健診をきっかけに発見されるケースも少なくありません。
例えば、次のようなケースです。
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学校の視力検査で急に視力が低下したと言われた。
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眼鏡を作ろうとしても、レンズを変えて視力があまり改善しない。
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視力検査のたびに結果が大きく変わる。
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検査では見えないと言うのに、普段の生活ではそれほど困っていない。
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眼底検査やOCT検査では、視力低下の原因が見つからない。
ただし、これらの特徴があるからといって、必ず心因性視力障害とは限りません。実際には近視、遠視、乱視、弱視、調節機能の異常、網膜や視神経の病気などが隠れている場合もあります。そのため、眼科で適切な検査を受けることが大切です。心因性はあくまで除外診断であり、他の疾患の可能性を否定しないといけません。
では原因はなんなのでしょうか。学校生活や家庭環境などによる精神的ストレスが主な原因と一つと考えれらています。例えば、友人関係の悩み、勉強へのプレッシャー、生活環境の変化などが関係することがあるとされています。しかし近年、心因性視力障害の仕組みについて新しい考え方が広がっています。それが、脳の「予測」や「注意」が、物の見え方に影響するという考え方です。
私たちの脳は、目から入ってきた情報をそのまま認識しているわけではありません。過去の経験や期待、注意を向けているものなどによって、見え方が変化することがあります。例えば、何かに集中していると、目の前にあるものに気づかなかったという経験はないでしょうか。これは心因性視力障害そのものではありませんが、視覚には脳の注意や情報処理が深く関わっていることを示しています。心因性視力障害でも、このような脳の情報処理の仕組みが関係している可能性が研究されています。つまり、単に「ストレスで視力が落ちる」という説明では十分ではないのです。もちろん心理的な負担が影響する場合もありますが、原因を無理に探したり、本人に問い詰めたりする必要はありません。
ではどういった症状が出るのかというと、最も多い症状は視力低下です。両眼の視力が低下することもあれば、片眼だけ見えにくくなることもあります。特徴的なのは、視力検査の結果と、普段の生活での見え方が一致しない場合があることです。例えば、視力検査では0.1しか見えないのに、小さな文字を読んだり、離れたところにあるものを見つけたりできる場合があります。また、検査方法を少し変更すると、突然よく見えるようになることもあります。視力低下以外にも、視野が狭く感じる、まぶしさを感じる、色が見えにくいなどの症状がみられることがあります。ただし、症状の現れ方には個人差があり、日常生活に大きな支障が出る方もいます。
心因性視力障害を診断するためには、まず視力低下の原因となる目の病気がないかを調べます。通常の視力検査だけでなく、屈折検査、細隙灯顕微鏡検査、眼底検査などを行い、必要に応じてOCT(光干渉断層計)や視野検査などを追加します。小児では、遠視や調節の影響を詳しく調べるために、調節麻痺薬を用いた屈折検査が必要になる場合もあります。さらに重要なのが、本来どの程度の視力があるのかを確認するための検査です。例えば、視力検査の距離を変えたり、レンズの組み合わせを工夫したりして、普段の検査では得られなかった良好な視力を確認することがあります。また、両眼で物を立体的に見る能力を調べる検査なども役立ちます。こうした検査で、通常の視力検査の結果よりも良い視機能が保たれていることを確認できれば、心因性視力障害を考える重要な手掛かりになります。ただし、目に異常が見つからないという理由だけで心因性と決めつけることはできません。
視力低下を説明できる病気がないか慎重に調べることと、良好な視機能が実際に存在することを確認することが大切です。
保護者の方が最も気になるのは、「このまま視力が戻らなくなるのではないか」ということでしょう。心因性視力障害は、特に小児では改善が期待できることが多いとされています。2026年に報告されたシステマティックレビューでも、小児の心因性・機能性視力障害は、成人と比較して良好な経過を示す傾向が報告されています。一部の研究では高い改善率が認められていますが、すべてのお子さんが短期間で回復するという意味ではありません。改善までに時間がかかる場合や、症状が続く場合もあります。治療では、まず目の機能が保たれていることを本人や保護者に理解してもらうことが重要です。必要に応じて心理的な負担や生活環境についても確認し、症状が長引く場合には小児科や心理の専門家などと連携することもあります。特別な治療をしなくても、適切な説明と経過観察によって視力が改善するケースもあります。
お子さんが心因性視力障害と診断された場合、最も大切なのは、見えにくいという訴えを否定しないことです。
「ちゃんと見えるはずでしょう」
「どうして視力検査で見えないの?」
「本当は見えているんじゃないの?」
このような言葉は、本人にとって大きなプレッシャーになることがあります。一方で、過度に心配しすぎる必要もありません。検査によって視機能が保たれていることを確認できた場合には、その結果を前向きに捉え、焦らず見守ることが大切です。また、心因性視力障害だからといって、学校や家庭に必ず何か問題があるわけではありません。原因を無理に探すのではなく、お子さんが安心して生活できる環境を整えていくことが望まれます。
Q1.心因性視力障害は、子どもが嘘をついているということですか?
いいえ。心因性視力障害では、本人が実際に見えにくさを感じている場合があります。意図的に見えないふりをすることとは異なります。
Q2.心因性視力障害の場合、眼鏡は必要ですか?
近視、遠視、乱視などがあり、眼鏡による矯正が必要な場合は使用します。ただし、心因性視力障害そのものは眼鏡の度数を強くしても改善するとは限りません。
Q3.ストレスが原因なら、学校を休ませた方がよいのでしょうか?
必ずしもそうではありません。学校生活を続けながら改善するお子さんもいます。登校困難や強い心理的負担がある場合には、個別に対応を考える必要があります。
Q4.自然に治ることもありますか?
はい。小児では良好な経過をたどることが多く、自然に改善する例もあります。ただし、経過には個人差があるため、必要に応じた眼科での確認が大切です。
Q5.学校健診で視力が悪いと言われましたが、本人は困っていません。それでも眼科に行くべきですか?
はい。本人が困っていなくても、近視や遠視、弱視などが存在する可能性があります。まずは眼科で視力低下の原因を確認することをおすすめします。
学校健診などで視力低下を指摘されると、まず近視を思い浮かべる方が多いと思います。しかし、視力が低下する原因は近視だけではありません。心因性視力障害のように、目の構造に大きな問題がなくても、うまく見えなくなる状態があります。重要なのは、視力が悪いという検査結果だけで判断するのではなく、なぜ視力が低下しているのかを詳しく調べることです。また、心因性視力障害が疑われる場合でも、目や視神経の病気が隠れていないかを慎重に確認する必要があります。お子さんの視力が急に低下した場合や、眼鏡をかけても視力が改善しない場合には、自己判断せずに眼科で相談しましょう。
「学校の視力検査で急に視力が悪くなったと言われた」
「眼鏡をかけても視力が上がらない」
「検査結果と普段の見え方が違う気がする」
このような場合には、近視や遠視などの屈折異常だけでなく、さまざまな原因を考える必要があります。かしま眼科では、視力検査や屈折検査をはじめ、必要に応じて眼底検査やOCTなどを行い、視力低下の原因を詳しく調べます。お子さんの見え方について少しでも気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
さて、今日の一枚です。

シェーーー!(きっと昭和の人にしか伝わらないかも)

