インフルエンザワクチンの季節に、もう一つ知ってほしい「帯状疱疹ワクチン」―帯状疱疹は“目”にも起こります
皆様こんにちは!
雨続きの天気が終わり、秋晴れのいい天気が続いてますね。うちのわんこも楽しく散歩できてて飼い主としても散歩が楽な季節で嬉しいです。
さて、秋になると、インフルエンザワクチンの接種を考える方が増えてきます。
毎年この時期になると、
「今年もインフルエンザワクチンを打たないと」と思い出す方も多いかと思います。
しかし、特に50歳を過ぎた方に、眼科医としてもう一つ知っておいていただきたいワクチンがあります。それが、帯状疱疹ワクチンです。
「帯状疱疹って、皮膚に痛い発疹が出る病気でしょう?」と思ってる方が多いと思います。
実は帯状疱疹は、顔に発症すると眼球そのものまで障害し、場合によっては視力を大きく低下させることがあります。
眼科医にとって、帯状疱疹は決して“皮膚だけの病気”ではありません。
帯状疱疹の原因となるのは、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV:Varicella-Zoster Virus)です。多くの人は子どもの頃に水ぼうそうにかかります。水ぼうそうが治ってもウイルスが完全に体から消えるわけではありません。ウイルスは神経節の中に長期間潜伏し、加齢や免疫機能の低下などをきっかけに再び活動を始めることがあります。これが帯状疱疹です。
厚生労働省によると、帯状疱疹は特に70歳代での発症が多くなっています。
顔には三叉神経という大きな神経があります。
そのうち額、上まぶた、眼球周辺を担当しているのが第1枝、いわゆる眼神経です。この神経領域に帯状疱疹が起こったものを、眼部帯状疱疹と呼びます。帯状疱疹全体の約10~20%が眼部帯状疱疹になると報告されています。
典型的には、
額の片側が痛い
上まぶたに水疱ができる
頭皮が触るだけで痛い
目が赤い
まぶしい
目が痛い
といった症状が出ます。
特に鼻の先や側面に水疱が出ている場合、眼症状を伴うリスクが高く、眼科では注意して診察します。
眼部帯状疱疹で怖いのは、皮膚の発疹が治った後にも目の炎症が続いたり、再発したりすることです。
眼部帯状疱疹では、
・結膜炎
・角膜炎
・角膜混濁
・虹彩毛様体炎、ぶどう膜炎
・眼圧上昇、続発緑内障
・強膜炎
・視神経障害
・急性網膜壊死
など、さまざまな眼合併症を起こす可能性があります。角膜炎が強く起これば、角膜に濁りが残ることがあります。ぶどう膜炎を繰り返せば、白内障や緑内障につながることがあります。まれではありますが、網膜や視神経まで障害されれば、永久的な視力低下につながることもあります。
アメリカの感染予防センターも、顔面の帯状疱疹は眼を侵し、視力低下を引き起こす可能性があると注意喚起しています。
もちろん帯状疱疹を発症した場合には、抗ウイルス薬による早期治療が非常に重要です。しかし、眼部帯状疱疹を日常的に診療している立場からすると、もっと重要なのは、そもそも帯状疱疹を発症しにくくすることです。
そこで重要になるのが帯状疱疹ワクチンです。
現在使われている組換え帯状疱疹ワクチンは、帯状疱疹そのものだけでなく、帯状疱疹後神経痛などの合併症を予防する効果が期待されています。免疫機能が正常な50歳以上では、組換え帯状疱疹ワクチンは帯状疱疹および帯状疱疹後神経痛に対して90%を超える予防効果を示しています。
50歳以上約484万人を対象とした米国の大規模データ研究では、組換え帯状疱疹ワクチンを2回接種した人では、未接種者と比較して眼部帯状疱疹の発症リスクが大きく低下していました。なんと、ワクチン有効率は約89%と報告されています。
つまり帯状疱疹ワクチンは、「痛い皮疹を防ぐためだけのワクチン」ではなく、眼科的には、
角膜炎やぶどう膜炎、視力障害につながり得る眼部帯状疱疹を予防するという意味でも重要なワクチンと考えることができます。
日本では2025年4月から、帯状疱疹ワクチンが予防接種法に基づく定期接種の対象となりました。原則として65歳になる方が対象です。また2025~2029年度の5年間は経過措置として、その年度に70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳になる方も対象となっています。実際の自己負担額や接種方法は自治体によって異なりますので、お住まいの自治体や接種医療機関への確認が必要です。なお、過去に帯状疱疹になったことがある方でも、再び発症する可能性があります。厚生労働省も、過去に水ぼうそうや帯状疱疹にかかったことがある方も、条件を満たせば定期接種の対象になるとしています。
秋になると、インフルエンザワクチンについて考える方は多いと思います。
そのタイミングで、ご自身やご家族が帯状疱疹ワクチンの対象年齢になっていないかも、ぜひ一度確認してみてください。
帯状疱疹は、
顔に発症すると、角膜炎、ぶどう膜炎、緑内障などを起こし、場合によっては視力を失う可能性まである病気です。
ワクチンには副反応もあり、年齢や基礎疾患によって接種の可否を個別に検討する必要があります。
それでも、眼部帯状疱疹を実際に診療する眼科医としては、
「帯状疱疹ワクチンは、目を守るワクチンでもある」
ということを、ぜひ多くの方に知っていただきたいと思います。
FAQ
Q. 帯状疱疹が目に出たら、皮膚科と眼科どちらを受診すればいいですか?
額やまぶたに帯状疱疹があり、目の充血・痛み・まぶしさ・視力低下などがある場合は、眼科も早めに受診してください。眼表面だけでなく、角膜や眼内に炎症が起こっていることがあります。
Q. 鼻の先に水疱ができたら危険と聞きました。本当ですか?
鼻の先や側面に帯状疱疹の皮疹がある場合は、眼球にも影響する可能性が高くなることが知られています。症状が軽くても眼科受診をおすすめします。
Q. 以前帯状疱疹になったことがあります。ワクチンは必要ですか?
帯状疱疹は再発することがあります。過去に発症していてもワクチン接種が検討されます。接種時期については主治医に相談してください。
Q. 帯状疱疹ワクチンは1回ですか?
ワクチンの種類によって異なります。組換えワクチンは通常2回接種です。日本の定期接種では生ワクチンと組換えワクチンの両方が選択肢となっており、回数や接種間隔が異なります。
Q. 副反応はありますか?
組換えワクチンでは、接種部位の痛み、腫れのほか、疲労感、筋肉痛、頭痛、発熱などがみられることがあります。多くは数日以内に改善します。
Q. インフルエンザワクチンと同じ時期でも大丈夫ですか?
ワクチンの種類や体調によって判断します。組換え帯状疱疹ワクチンについては、海外では他のワクチンとの同時接種も可能とされています。実際の接種スケジュールは接種を行う医師と相談してください。
帯状疱疹が顔や額、まぶた、鼻の周囲に出た場合は、「皮膚の病気だから」と考えず、目にも影響していないか確認することが大切です。特に、目が赤い、痛い、まぶしい、涙が出る、見えにくいといった症状を伴う場合には、できるだけ早めに眼科を受診してください!
さて今日の一枚ですが、、、
大欠伸をかますにゃんこです🎵

