ステロイドと目の関係
皆さまこんにちは。
梅雨入りして湿度がうっとうしい季節となりましたね。都内と比べると鹿嶋は気温が数度低く天候もいいので大変過ごしやすく感じます。
今日は日常診療で色々な診療科で処方されるステロイド薬と目の関係についてです。
ステロイドを内服すると全身に様々な症状が出ます。骨粗しょう症、感染症へかかりやすくなる、消化管潰瘍、満月様顔貌、にきび、多毛、不眠、精神不穏、、、挙げたらきりがないぐらいあります。
本日はそんなステロイドが目に及ぼす副作用に関してのお話です。
長期的な副作用として代表的なものは白内障です。
内服薬や吸引薬で問題となることがあるもので、数か月~数年で症状が出現してきます。白内障の中でも特に、後嚢下白内障と呼ばれる進行が速いタイプの白内障になりやすいことが特徴です。詳しいメカニズムに関してはまだはっきりとはわかっておりません。
もう一つ大事な合併症が高眼圧症です。
内服などの全身投与では投薬開始から発現まで1週間~数年間と一定しておりませんが、ステロイドの点眼の場合数週間以内に起きることが多いです。通常投薬中止すれば眼圧は元に戻りますが、休薬せずに長々と続けてしまうと、たとえ休薬しても眼圧は戻らなくなってしまいます。
では皆が皆、ステロイドを使っていると眼圧が上昇するのでしょうか。
実はそうではありません。まずお子さんでは大人よりも反応しやすく眼圧が上がりやすいことが分かっております。
また大人ではステロイドに反応して眼圧上昇する方が10~40%、そのうち5%は著明な眼圧上昇をきたすことが報告されております。
眼圧が非常に上昇した場合、目の重さ、頭の痛み、まぶしさ、視力低下などといった症状が出現しますが、そうでない場合、ほとんど症状はありません。ですので、気づかないうちにステロイドによる高眼圧症になっていることが非常に怖いのです。
というのも、私が大昔に診察した方たちの話です。
あるお母さんがお子さん方を連れて受診されました。近くの眼科さんで花粉症に対してステロイドを出され、三人とも特に普段検査もなく漫然と1年ほど点眼してたとのことです。
最近お子さん方全員、見えづらさを感じるとのことで検査をしたところ、全員が眼圧が高く、緑内障を発症しておりました。さらに視野検査をしたところ、全員が中期~末期の状態でした。
その経験もあってか、私自身はステロイドを処方するときかなり慎重に経過観察を行います。
ステロイドを子供に用いるときは必ず眼圧を確認、長期的にステロイド使用する可能性がある方には必ず眼圧と眼底検査を定期的に行うことで未然に防げます。
また、今全身のご病気でステロイドを用いてる、喘息で吸引薬を用いている、どこかでステロイド点眼処方されたけど、そのまま様子見ているといった方がおりましたら、ぜひ一度受診をお勧めいたします。
では今日のランの写真を。
今日の一枚は、暑すぎて近所のカフェの床で涼むランです。