プリザーフロを用いた緑内障手術
皆様こんにちは!
本日は緑内障手術に関するテーマ2回目ですね、プリザーフロと呼ばれる器具を用いた手術に関してです。
まずはおさらいです。

目の中には毛様体から作られる房水と呼ばれる液体が詰まっており、日夜産生されております。この房水は線維柱帯と呼ばれる網目構造の排水溝に流れ去って行きます。
点眼治療、レーザー治療などを行なっても眼圧が下がらない、全ての治療をおこって眼圧は下がってるけど視野が悪くなってくる場合、緑内障手術が必要となってきます。
本来房水は線維柱帯→シュレム管→集合管→房水静脈→上強膜静脈→全身の血流という流れで流れております。
いわゆる緑内障手術は、

こちらのイラストのように、目の内側から外側に新たな流れを作ります。そこで線維柱帯を切り開き、虹彩を切り、と目にたくさん侵襲が加わります。また、術後の眼圧コントロールが難しかった経緯があります。今回ご紹介する手術は2023年に認証がおりたもので、侵襲が少なく、以前の手術と比べて安定した効果を得ることができることが出来ます。
今回の手術はどのようなものなのでしょうか。
手術のメカニズムは実は同じで、目の内側と外側を繋ぐ新たな流出路を作るというものです。
新しい手術はプリザーフロと呼ばれるチューブを用います。

こちらのチューブ、心臓の血管のステントにも使われる素材で出来ており、人体に安全なものですのでご安心ください。
長さが約8.5cm、太さ0.35mmでストローのようになってます。

このチューブを眼の上方から眼内に挿入し、房水を眼の外に流し出すという手術になります。
適応ですが、閉塞隅角緑内障や糖尿病による新生血管緑内障、ぶどう膜炎など、いくつかの禁忌事項を除き、適応となります。
術後の合併症としては、一時的に眼圧が過剰に下がる低眼圧症、濾過不良による効果不十分ケースなどがあります。
また、チューブが結膜を破って外に剥き出しになった場合、再度整復もしくは抜去となることがございます。
こちらの手術は指定の講習を受講した医師のみができるものとなります。
一つでも多くの治療の選択肢を提示できるよう、当院では様々な治療法を導入しておりますので是非ご相談ください。
次回もまた緑内障手術に関しての情報をお伝えして行きます。
さて今日の一枚ですが
長いお散歩で完全に疲れ切ったランです。
